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てんかんFAQ

Q1

てんかんって何?

てんかんとは病気の名前で、てんかん発作は「てんかん」の症状のことを指します。

Q2

てんかんは治るの?

てんかんの原因によって治るものと治らないものがあります。

一般的な特発性てんかんが治ることはまれです。てんかん治療の目的は、愛犬や飼い主さんの不安や苦痛をできるだけ和らげて、生活の質を高めることです。てんかんは、お薬による治療で発作をおよそ70~90%ほど抑えることが可能です。

Q3

てんかんの治療はお薬だけ? お薬を長い間飲んでいても大丈夫?

現在のところ、てんかんはお薬による治療がほとんどです。

お薬は長期に飲まなければならないので、副作用を最低限に抑える必要があります。そのためにはまず、お薬が合っているかどうかを判断する必要があります。それには、お薬を飲み始めた後に、定期的にお薬の血中濃度の測定を行い適切な量の内服ができているか、全身的な血液検査を行うなどをして健康状態に変化がないか確認します。

Q4

発作がない時はお薬をやめてもいいの?

お薬は途中でやめないでください。

お薬を飲むことで発作を抑えていますので、急にお薬をやめると今まで抑えていた発作が再び起きてしまうおそれがあります。そうなると、今までのお薬では発作を抑え切れなくなったり、命にかかわることもあります。ですので、獣医師の指示がない限りは、途中でお薬をやめないでください。

Q5

お薬を飲んでいるのに、まだ発作が起こるのはどうして?

いろいろな原因が考えられます。

これはお薬の種類や量、飲んでいる期間、血中濃度などが適切でないのか、あるいはほかに原因があるのか、検査をしないことにはわかりません。発作が治まらない場合には、もう一度病気の原点に戻って検査をする必要があります。この時に「犬のてんかん日記」が診断の役に立ちますので、毎日欠かさずご記入ください。

Q6

お薬を飲ませ忘れた場合、次の投与時に2回分投与してもいい?

気づいた時点で1回分を投薬してください。

そして次回投薬するときは、4時間以上問隔を空けましょう。一度に2回分の投薬は絶対にしてはいけません。なお、問隔を4時問以上空けると翌日になってしまう場合は、翌日のなるべく早い時間帯に必ず投薬してください。

Q7

発作を何回も起こしていると認知機能障害が発症したりしないのでしょうか?発作と認知機能障害発現との関係は?

発作を何度も起こしたり、発作がとても重症であったりすると、認知機能の障害、つまり痴呆のような症状がおこる可能性はあります。。

認知機能が低下する原因として、一つ目は、発作はないと思っていても、実は目に見えない小さな発作のような脳の活動が続いていて、脳の正常な働きが抑えられている場合、二つ目は、とても重度な発作が起こり神経細胞の一部が消失してしまった場合、三つ目は、抗てんかん発作薬の副作用によって脳の活動が抑制されすぎている場合が考えられます。特に高い発作頻度や連続・持続する発作が、より重篤な認知機能低下と関連することが報告されています。

認知機能を低下させないための第一歩は、発作の頻度を減らし、重症な発作を防ぐことです。かかりつけ医と相談し、発作が起こりにくくなるように抗てんかん発作薬を調整してもらいましょう。また、急な発作に備えて家庭で対応できる緊急薬を処方してもらうことも有用です。薬の副作用の可能性については、薬の血中濃度の測定が役に立つことが多いです。それらの区別がどうしてもつきにくいときは、脳波検査やMRIが必要になることもあります。

一部の研究では、 総エネルギー量の9%分の中鎖脂肪酸(MCT)を添加した食事を与えることで、犬のてんかんによる認知機能低下が改善することが報告されています。これは、脳の代謝改善や発作頻度の減少に起因すると考えられています。

このように、原因や予防・治療方法が異なるため、老化による認知機能の低下と、てんかんに関連する認知機能の低下を区別することも重要です。これらは性質がかなり異なることがわかってきています。てんかんに関連する場合、老化によるものとは異なり、空間認知能力や記憶能力の低下がより顕著であり、かつ認知機能の低下は進行しない傾向にあります。

回答者 麻布大学 齋藤弥代子